02/20: 「オペラ座の夜」とインスタント・コーヒー
Category: 一般
Posted by: toirocoffee
米国大手コーヒーチェーンがインスタントコーヒー事業に乗り出すニュースに関して、ちょっと批判的なことを当ブログに書いてしまいましたが、それはインスタントコーヒーの存在そのものを否定しているからではありません。
インスタントコーヒーというのは、「豆」そのものを加工したものではありません。挽いた粉にお湯を注いで、いったん出来上がったコーヒーを、フリーズドライ技術で粉末状にしたものです。だからそれは、珈琲豆とはまったく別の製品であるはずです。それを「これはすごい優秀な珈琲豆ですよ」と言って売っている珈琲豆屋が、「挽きたて」だとか「本格ドリップ」だとか言って、更には足りなくなった香りを補うために香料を混ぜたりした加工品を堂々と販売しているのって、ちょっと滑稽に思えるのです。
大手コーヒーメーカーのインスタントコーヒーに対するスタンスはともかくとして、それがある場面ではとても便利で重宝するものであることは誰もが認めるところでありましょう。たくさんの人が集まるような会議においては、インスタントコーヒーは重宝するでしょうし、災害の被災地などでも、お湯さえあればいつでも温かいコーヒーが淹れられるというのはとてもありがたいことだと思います。それに、気持ちが入ったおもてなしであれば、インスタントだって美味しく感じるものです。
今日は第3金曜日でお休みをいただきましたので、お客様が紹介してくれた中古レコード店に行ってきました。看板らしい看板もないその店は、紹介してもらわなかったらならば、お店だとはまず分からないでしょう。店内にはダンボール箱に入れられたLPレコードが、床一杯に置いてあります。ダンボール箱とレコードで踏み場のない狭い店内に、レコードプレーヤーが数台とスピーカーセットが何台か置いてあります。そして、そのプレーヤーからは寺尾聡さんの歌声が流れていました。
「いらっしゃいませ」という一言の後、頑固そうな店のおじさんは黙ったきりで、その中を私は黙々とレコードをひっぱり出してはジャケットに見入ります。しばらくそんな時間が続いた後、店のおじさんは「良かったらどうぞ」と言いながら、インスタントコーヒーで淹れたホットコーヒーを私に差し出してくれました。
「これをかけてもらっていいデスカ?」と、私がおじさんに渡したレコード盤は、クイーンの「オペラ座の夜」。ブライアン・メイのエレキギターの轟音が、瞬く間に部屋中を満たしました。
インスタントコーヒーというのは、「豆」そのものを加工したものではありません。挽いた粉にお湯を注いで、いったん出来上がったコーヒーを、フリーズドライ技術で粉末状にしたものです。だからそれは、珈琲豆とはまったく別の製品であるはずです。それを「これはすごい優秀な珈琲豆ですよ」と言って売っている珈琲豆屋が、「挽きたて」だとか「本格ドリップ」だとか言って、更には足りなくなった香りを補うために香料を混ぜたりした加工品を堂々と販売しているのって、ちょっと滑稽に思えるのです。
大手コーヒーメーカーのインスタントコーヒーに対するスタンスはともかくとして、それがある場面ではとても便利で重宝するものであることは誰もが認めるところでありましょう。たくさんの人が集まるような会議においては、インスタントコーヒーは重宝するでしょうし、災害の被災地などでも、お湯さえあればいつでも温かいコーヒーが淹れられるというのはとてもありがたいことだと思います。それに、気持ちが入ったおもてなしであれば、インスタントだって美味しく感じるものです。
今日は第3金曜日でお休みをいただきましたので、お客様が紹介してくれた中古レコード店に行ってきました。看板らしい看板もないその店は、紹介してもらわなかったらならば、お店だとはまず分からないでしょう。店内にはダンボール箱に入れられたLPレコードが、床一杯に置いてあります。ダンボール箱とレコードで踏み場のない狭い店内に、レコードプレーヤーが数台とスピーカーセットが何台か置いてあります。そして、そのプレーヤーからは寺尾聡さんの歌声が流れていました。
「いらっしゃいませ」という一言の後、頑固そうな店のおじさんは黙ったきりで、その中を私は黙々とレコードをひっぱり出してはジャケットに見入ります。しばらくそんな時間が続いた後、店のおじさんは「良かったらどうぞ」と言いながら、インスタントコーヒーで淹れたホットコーヒーを私に差し出してくれました。
「これをかけてもらっていいデスカ?」と、私がおじさんに渡したレコード盤は、クイーンの「オペラ座の夜」。ブライアン・メイのエレキギターの轟音が、瞬く間に部屋中を満たしました。
02/19: 愛すべき四角形
Category: 一般
Posted by: toirocoffee
先日、NELSMさんに伺った際に、当店の食器拭き用にリネンのキッチンクロスを購入してきました。メーカーはリトアニアの「Fog」。ずっと私が使用している店用のエプロンがFog製なのですが、使い込むほどに馴染むその繊維の素性の良さにすっかり惚れ込んでしまったのです。
「リネン」というのは亜麻からできた糸のことです。この糸を使って作られた布地がキッチンクロスやシーツなどのリネン製品となるわけです。
その布が持つ心地良さに酔うことは、価値観の違う目からすればつまらないことなのかも知れません。
たかが45cm×65cmの長方形。
しかし、その四角形の中には、リネンとともに長い長い時を経てきたヨーロッパ文化の息吹が脈々と流れているのです。
その息吹を今日も我が手に感じつつ、「たかが布きれ」を長く大切に使っていきたいと思う私なのでありました。
「リネン」というのは亜麻からできた糸のことです。この糸を使って作られた布地がキッチンクロスやシーツなどのリネン製品となるわけです。
その布が持つ心地良さに酔うことは、価値観の違う目からすればつまらないことなのかも知れません。
たかが45cm×65cmの長方形。
しかし、その四角形の中には、リネンとともに長い長い時を経てきたヨーロッパ文化の息吹が脈々と流れているのです。
その息吹を今日も我が手に感じつつ、「たかが布きれ」を長く大切に使っていきたいと思う私なのでありました。
02/13: 志 −ココロザシ−
Category: 一般
Posted by: toirocoffee
今日のニュースに、米スターバックスがインスタントコーヒー市場に参入するという情報がありました。昨年の大幅な店舗整理と人員削減が話題になったばかりの同社ですが、正直このニュースには驚かされました。
今、日本では少しでも品質の良い豆を提供したいという珈琲豆店が多くなり、産地指定モノや農園指定モノの豆を扱う店が増えてきました。かくいう当店もそんな店の1つであります。でも、10年前くらいまではこんな状況ではありませんでした。珈琲豆店では、いつもの定番の「ブラジル・サントス・No.2」「コロンビア・スプレモ」といった豆が並んでいて、地域指定の豆なんて数えるほどしかありませんでした。その状況を一変させたのが、スターバックスコーヒーの日本上陸でしょう。スタバのバイヤー自らが世界中の農園を訪ねて良質な豆を買い付け、それを店頭で提供し始めたのです。
そんなプレミアムコーヒー市場に先鞭をつけた同社は、その空間さえもプレミアムらしく仕立てて、都会のオアシスよろしく優雅なひと時をお客様に与えて、一躍、日本のコーヒーチェーンのトップブランドに躍り出たわけです。私も東京で会社勤めをしていた頃は、よく利用させていただきました。しかし、その後の地方都市への出店ラッシュなどを見ていて、「これではまるでマクドナルドみたいだな」と思っておりました。都会のオアシスは、気がついてみれば地方のスーパーマーケットに隣接されていたり、デパートの一角に入っていたり・・・。そして今回のインスタントコーヒー市場への参入のニュースです。
日本の大手コーヒーメーカーも、かつては高い志を持った優良コーヒー豆店からスタートしました。世界各国の優良豆を買い付け、自分の農園さえも海外に持つにいたったメーカーもあります。でも、ほとんどのメーカーは「いかに利益を追求するか」という企業倫理に基づいた結果、大量生産できて収益性も良い缶コーヒーを売り、インスタントコーヒーを売り、そして自らのブランド力を過信して各種のコーヒー以外のフードマーケットへと参入するに至ったのです。「挽きたて」だとか「ネルドリップ」だとか、キャッチーなコピーを並べた美味しそうなイメージの缶コーヒーやインスタントコーヒーを、スーパーマーケットの棚に並べれば並べるほど、自分の原点を見失うことになっていくその自己矛盾を、どうやって解決していくつもりでいるのでしょう。
ただ、日本の大手メーカーやスタバの選択は間違ってはいないでしょう。彼らは成長を止めるわけにはいきません。追求した利益を、株主へと還元せねばならない義務を背負っているですから・・・。
ちょっと今日は毒のある文章になってしまいましたね。反省です。ひとつだけ言えること。それは、十色珈琲の珈琲豆がインスタントコーヒーになったり、スーパーマーケットの棚に並ぶことは決してないということです。
今、日本では少しでも品質の良い豆を提供したいという珈琲豆店が多くなり、産地指定モノや農園指定モノの豆を扱う店が増えてきました。かくいう当店もそんな店の1つであります。でも、10年前くらいまではこんな状況ではありませんでした。珈琲豆店では、いつもの定番の「ブラジル・サントス・No.2」「コロンビア・スプレモ」といった豆が並んでいて、地域指定の豆なんて数えるほどしかありませんでした。その状況を一変させたのが、スターバックスコーヒーの日本上陸でしょう。スタバのバイヤー自らが世界中の農園を訪ねて良質な豆を買い付け、それを店頭で提供し始めたのです。
そんなプレミアムコーヒー市場に先鞭をつけた同社は、その空間さえもプレミアムらしく仕立てて、都会のオアシスよろしく優雅なひと時をお客様に与えて、一躍、日本のコーヒーチェーンのトップブランドに躍り出たわけです。私も東京で会社勤めをしていた頃は、よく利用させていただきました。しかし、その後の地方都市への出店ラッシュなどを見ていて、「これではまるでマクドナルドみたいだな」と思っておりました。都会のオアシスは、気がついてみれば地方のスーパーマーケットに隣接されていたり、デパートの一角に入っていたり・・・。そして今回のインスタントコーヒー市場への参入のニュースです。
日本の大手コーヒーメーカーも、かつては高い志を持った優良コーヒー豆店からスタートしました。世界各国の優良豆を買い付け、自分の農園さえも海外に持つにいたったメーカーもあります。でも、ほとんどのメーカーは「いかに利益を追求するか」という企業倫理に基づいた結果、大量生産できて収益性も良い缶コーヒーを売り、インスタントコーヒーを売り、そして自らのブランド力を過信して各種のコーヒー以外のフードマーケットへと参入するに至ったのです。「挽きたて」だとか「ネルドリップ」だとか、キャッチーなコピーを並べた美味しそうなイメージの缶コーヒーやインスタントコーヒーを、スーパーマーケットの棚に並べれば並べるほど、自分の原点を見失うことになっていくその自己矛盾を、どうやって解決していくつもりでいるのでしょう。
ただ、日本の大手メーカーやスタバの選択は間違ってはいないでしょう。彼らは成長を止めるわけにはいきません。追求した利益を、株主へと還元せねばならない義務を背負っているですから・・・。
ちょっと今日は毒のある文章になってしまいましたね。反省です。ひとつだけ言えること。それは、十色珈琲の珈琲豆がインスタントコーヒーになったり、スーパーマーケットの棚に並ぶことは決してないということです。
02/12: フレンチ・ブル君
Category: 一般
Posted by: toirocoffee
今日はお客様のKさんが、新しい家族ができたとのことで、私に紹介してくれました。それは茶色くて可愛いフレンチ・ブルドッグ!まだ4ヶ月のやんちゃ盛りなのだとか。ちなみに白いブル君の方は4歳だそうです。
いやあ、可愛いですネ。フレンチ・ブルドッグというのは人を威圧するような感じがまったくなくて、私のような犬にあまり慣れていない人間でも、平気で手を延ばすことができます。私の手をペロペロしながら、「う〜ん、コーヒーの味がするワン」と感じたに違いありません。素敵な家族とともに、十色珈琲の珈琲豆の香りを楽しんでいただけたら嬉しいです!
いやあ、可愛いですネ。フレンチ・ブルドッグというのは人を威圧するような感じがまったくなくて、私のような犬にあまり慣れていない人間でも、平気で手を延ばすことができます。私の手をペロペロしながら、「う〜ん、コーヒーの味がするワン」と感じたに違いありません。素敵な家族とともに、十色珈琲の珈琲豆の香りを楽しんでいただけたら嬉しいです!