この頃、「四季がなくなりつつある」ということをよく耳にします。今年なんかはまさにその通りになってしまって、9月一杯は連日30℃を越えようかという夏日が続いて、10月の半ばを過ぎたら一気に寒くなってしまいました。

本来ならば、一年のうちで最も過ごしやすい季節なはずで、その穏やかな気候から様々な「やる気」が生まれるはずなのです。それらが「芸術の秋」であったり「食欲の秋」であったり「読書の秋」だったりするわけです。

しかしながら秋がこうも短いと、なんとせわしないことか。夏がやっと終わったと思ったら、もう「年賀状の予約はどうなさいますか?」なんて声を掛けられる時期になってしまっています。

忙しいことの例えに、「盆と暮れが一度にやってくる」という言葉があります。まさにそれを私たちは何となく体感しつつあり、本当はそんなに忙しくもないのに、なんとなく心のゆとりがなくなってしまいそうな気がするのは私だけでしょうか・・・。


今年は猛暑に加えて雨が少なかったために、山のキノコもまったくもって不作だったようです。子どもの頃は、秋になると家族総出で裏手にある山中まで出掛けて、山ほどのキノコを採ってきたものです。そんな子どもの頃の山間に住む人達ならではの風物詩も、きっと遠い昔の思い出話しでしかなくなってしまうのでしょうね。




近くの農産物の直売所に露地物のキノコが売っていたからということで、母が「じこうぼう」を分けてくれました。長野県の各地域によっては「じこぼう」だとか「りこぼう」だとか呼ばれているキノコで、正式名称は「ヌメリイグチダケ」。長野県の雑キノコの定番であります。

天然ならではのダイレクトな「山の味」は、私の少年時代の思い出の味であるのですが、若い人たちはきっと食べつけていないと遠慮する味なんだろうなあ・・・。長野県ならではの味覚を、未来にもきちんと繋いでいってもらいたいものです。

「じこうぼう」は、味噌汁でよし、うどんの具にしてよし。今回は湯がいて酢醤油でいただきましたが、これもまた美味しいのであります。