先日、福井県の小浜市へ旅行していた娘からお土産が届きました。

小浜市と言えばもう京都もほど近く、昔は京の都へサバを運んだ「鯖街道」の起点としても有名な町。旅行前にそんな豆知識を娘に話したせいか、気を利かせて現地からサバを送ってきてくれました。


1つはサバの浜焼き。

とても大振りなサバを串に刺して焼き上げたもので、家庭ではこんな大きなサバをきれいに焼き上げるのは難しいと思われ、紙に包まれただけで送られてきたその姿を見たときは、思わず「お〜っ」と声が出てしまいました。

null

アルミホイルに包んで、余熱したオーブンで20分ほど加熱していただきました。近所で売られているサバのイメージと言えばパサパサな食感なのですが、この浜焼きは中までふっくら!そしてすごいボリューム!久しぶりに自宅で海の幸を堪能した気分になりました。

2つ目のお土産は「へしこ」

開いたサバを塩水に浸した後、ぬかとともに1年ほど漬け込んだもの。その存在は昔から知っていましたが、口にするのは初めて。ぬかを落として焼いてもいいし、きれに水洗いしてからそのままスライスして「刺身」として食してもいいのだそうです。

刺身としてちょこっとかじってみたところ、味のイメージはイタリアの食材「アンチョビ」に似ています。あちらは塩漬けにしたイワシをオリーブオイルに漬け込んだものですが、へしこはまるで味噌のような発酵した味が加わって、さらに濃厚。小さく切ってモツァレラチーズとともにサラダの上に載せてオリーブオイルをかけていただいたらとても美味でした。

しかし、それよりもあまりの美味しさに唸ってしまったのは、へしこを使ったペペロンチーノ。にんにくと赤トウガラシだけで作るシンプルなパスタ料理。

null

妻がたまたま冷蔵庫に残っていた大葉をトッピングして食卓に出してくれたのですが、この大葉もへしこパスタにぴったりでした。アンチョビよりもコクのあるその味わいは、ボラの魚卵で作る「からすみ」に近いような気がしました。「超絶に美味しい」というのはまさにこのこと。へしこはある程度の保存ができますので、あと数回は「へしこパスタ」を堪能できそうです。

そして最後はへしこを使ったお茶漬け。刺身にしたへしこでも美味しそうな気がしましたが、1切れは焼いて食してみようということで、キッチンペーパーでぬかを落としたものを焼き上げて、それをほぐしてお茶漬けにしました。

ちょうど娘が築地で買ってきてくれた鰹節がありましたので、それで出汁をとってお茶漬けにしました。

null

これはもう想像通りの問答無用の美味しさ。きっとお茶をかけていただいても美味しいと思うのですが、削りたての鰹節でとった出汁の味とあいまって想像を超えた味わいに。


「へしこ」や鰹節など、日本人が昔から育ててきた食文化の素晴らしさに触れたような気がします。調味料を使って簡単に手早く料理を作ることはとてもありがたいことですが、たまにはこうやって昔からの文化を思い出しながら食事するのも大切だと実感した次第です。