30才くらいの時に、夫婦でフランスのコートダジュール地方にあるカンヌを訪れる機会がありました。有名な映画祭がおこなわれることで有名な街ですね。

カンヌのホテルに何泊かしたのですが、たまにはホテルの朝食ではなくて街のパン屋さんのパンを買ってきて食べよう、ということになりました。

そしてホテルからちょっと歩いたところに朝から営業していた小さなパン屋さんを見つけ、何種類かのパンをそこで購入し、ホテルの部屋で食べることにしました。

日本のクロワッサンに比べると大き目です。そして食べた時の食感が、外はパリパリ、中はもちもち。この時のクロワッサンがフランスのスタンダードなのかどうかは定かではありませんが、その食感が今でも忘れられません。

日本で売られているクロワッサンは大抵が中までパリパリなものが多く、中がもちもちしたものはなかなか見かけることがありません。(どこかで中がもちもちなクロワッサンを見かけた方はぜひ教えてください)

そして先日、私が東京のパン屋さんの情報をネットで調べて「あーでもないこーでもない」とぶつぶつ言っていたら、妻が突然「私が作る」と言い出しました。なんとありがたい。

しかしクロワッサンと言えば、生地にバターをこれでもかというほどたっぷり練り込み、そして薄く伸ばした生地を何層にも重ねあわせてつくるという、素人泣かせのなかなか大変なパンであります。期待しながらも不安を隠せぬまま自家製クロワッサンの完成を待ちました。

で、完成したクロワッサンはなかなか素晴らし出来栄え。外はパリパリ、中はもっちりのクロワッサンが見事に出来上がったのです!ただ、塩の量の調節が難しかったらしくちょっとしょっぱい味付けに。今後に期待したいということで、私は厳しめに60点の点数を付けました(笑)

それが妻のチャレンジ精神に火をつけたらしく、1週間もたたないうちに「もう1回作る」と言うではありませんか。いや、それはありがたい。それではお願いしますということで、2回目のクロワッサンを待つこととなりました。


そして2回目のクロワッサンが焼き上がりました。今回は塩と砂糖の配分がちょうど良かったらしく、味は抜群でした。ただ、底面がちょっと焦げてしまっていたのが惜しいところ。本人に点数を聞いてみると「70点」という回答。ふむふむ。素人が焼くクロワッサンが2回目で70点なら上出来ではないですか。次回は私も手伝って、80点越えを目指したいところであります。



夕飯は鶏もも肉のトマトソース煮にクロワッサンというメニューでいただきました。いやあ、焼き立てのクロワッサンのバターの香りに包まれて食べる夕食のなんと心地いいこと。思い出のクロワッサンを食べたカンヌの街を思い出しながら、まったりと食事を楽しみました。

ちょっと余った生地でチョコを挟み込んだ「チョコクロ」も作ったというので、夕飯後にはモカ・エキスプレスで淹れたカフェインレスコーヒーとともにチョコクロワッサンをいただきました。クロワッサンづくしの夕食でした。美味しかったです。



そして食べきれなかったクロワッサンは翌日のランチにも登場。
手前にあるゆで玉子、コシアブラの茹でたものを少量とアンチョビを少々載せてあります。



実は当店のお客様から採れたてのコシアブラのお裾わけをいただいたのです。クロワッサンの食事に合わせて、軽く茹でたコシアブラにオリーブオイルとアンチョビを加えたもので味付けした食べたら美味しかったので、ゆで玉子にトッピングしてみました。

コシアブラは強い香味を持つ山菜ですので、考えてみれば和風のハーブ。ハーブと考えれば和風のメニューの枠にとどまらずに意外な調理法が見つかる気がします。また違ったメニューを考えてみたいと思います。

*コシアブラを届けてくれたYさん、ありがとうございます!美味しくいただきました。