自分がこだわり続けているものってなんだろう?
改めて考えてみると、ずっとこだわってきたものって、そんなにはたくさん無い気がします。

言うまでもなく、珈琲は私がこだわってきたものの1つです。学生時代から、朝起きるとガリガリと珈琲豆を挽いて、淹れたての珈琲を飲むという毎日を過ごしてきました。

そして、ほぼ同じくらいの年月こだわってきたもの。それは「ジーンズ」です。
大学に入るまでは、ジーンズなんてどれも同じだと思っていたのですが、大学に入ってからできた友人が「お前にはリーバイスの501があってるよ」と言ってきたのです。

どういうことかと思い質問してみたら、ファッションにはうるさい彼の妹さんに私の写真を見せたとことろ、私の背格好から判断するに「リーバイスの501」がいいと言っているのだそう。

それまでジーンズのブランドなんてこだわったことなどなかったし、ましてや型番にこだわるなんて考えたこともありませんでした。

しかし、彼の意見ではなく、妹さんの意見とあらば実践するしかありません。これが友人からの直接のアドバイスだったら気にも留めなかったでしょう(笑)。女性からファッションの指南を受けるなんていうことは初めての経験でしたので、私は少しご機嫌な気分でリーバイスの501を購入することにしました。

501はリーバイスの"ど定番"のストレート。股上が深めで、ジッパーではなくてボタンで前を留めるのが特徴。この「ボタン・フライ」の仕様に慣れてしまうと、もうボタン・フライのジーンズしか愛せなくなります。ボタンよりジッパーの方が楽だと思わるかもしれませんが、「えいや」とジーンズの前面を左右に引っ張ると、いとも簡単に開くのであります。あと、ジッパーだとその金属が作り出す"うねり"が、ジーンズに強張ったラインを与えてしまうのですが、ボタン・フライ仕様だと、ゆるやかで穏やかなラインになります。

そんな風に、その時以来、私はボタン・フライのリーバイスの501を頑なに愛してきたのでした。

しかし、10年ほど前からでしょうか、リーバイスのジーンズの小売り価格が上昇し、以前の倍くらいの値段になってきました。リーマンショックによる経済の変化、生産を委託してきた国々の人々の人件費の高騰など、小売価格が高騰する理由はいくつかあったのでしょうが、それをきっかけに私は「リーバイス信仰」にちょっと疑問を持つことになりました。

今現在、リーバイス501の標準的なモデルの小売価格は、13,000円〜15,000円くらいかと思います。でも、全世界に出回っている最大手ブランドの大量生産されるジーンズにそれくらいのお金を払うならば、Made In Japanのもっとこだわりを持ってジーンズを生産しているブランドがあるのではないか?と考えるようになりました。

調べてみると、そいういったジーンズ・ファクトリーはたくさんあるのですが、リーバイス501と同じ価格帯で良さそうなブランドがみつかりました。それが岡山県倉敷市の児島に拠点を持つ「Japan Blue Jeans」です。そうとなれば、さっそく試してみなければ気がすまなくなり、先日、定休日を利用してJapan Blue Jeansの渋谷店まで足を延ばしてきました。

そこで目にしたのが、このミシン。私が生まれた60年代に活躍していたビンテージの「ユニオンスペシャル」。きちんとメンテナンスできる人が少なくなってしまったため、今でも稼働している台数はかなり少ないミシンなのだとか。



裾上げを頼むと、このミシンで裾をチェーンステッチで仕上げてくれます。現代のミシンと比べてどのように違いが出るのか、素人にはまったくもってわからない世界ではありますが、この佇まいを見ただけでも、なんだか特別にこだわったジーンズを手にできたようで、自然とわくわくしてくるというものです。

これからしばらく履きこんでみて、そのこだわりの真価を感じてみたいと思うのであります。