05/09: 福島宿を訪ねる
Category: 一般
Posted by: toirocoffee
ゴールデンウィークも終わり、世間にはいつも通りの日常が戻ってきました。
当店は定休日である土曜日以外は営業させていただきました。3日から5日の3日間だけは18:00閉店とさせていただきまして、いつもより1時間だけ早く店を閉めた分だけ、のんびりとした夜の時間を過ごさせていただきました。
ゴールデンウィークだからといって特別なことをする予定はありませんでしたが、定休日だった土曜日の夕方に、木曽の福島宿を短時間だけ訪れてみました。
土曜日の夕方ともなればすでにゴールデンウィークも終わりという雰囲気だろうから、きっと観光地だって混雑していることはあるまいという考えのもと、我が家を出発したのは午後2時過ぎ。1時間半ほどのドライブを経て、木曽の福島宿にたどり着きました。
道路も混雑しておらず、福島宿も人はまばら。人が少なかったのはこのコロナ禍の状況では歓迎するところではありますが、いまだ続く国内の自粛ムードと、インバウンドという後ろ盾を無くしてしまった宿場町の観光業を営んでおられる方々の心中を考えると、ちょっと複雑な胸中でありました。
川に張り出した壁面にいささか恐怖心さえ覚える「崖屋づくり」の宿場町の風景。表の街道は整然としていますが、裏にまわると川とともに生活してきた木曽谷の住人の苦労を伺い知ることができます。
現在の建築基準法では認められないこの構造。いずれはこの風景も見られなくなるのかもしれません。
初夏の木曽の味覚である「朴葉巻」や、秋の名物である「栗小餅」など、木曽は甘党を自認する私には素晴らしいところ。それらを買い求めに何度か福島を訪れたことがありましたので、福島宿の雰囲気くらいは知っているつもりでした。
先ほどの崖屋づくりが見られる家々の表側の道は幅も拡く、おそらくは明治時代に再建された街道の街並み。そこを車で通過したくらいでは福島宿の本当の魅力の1割も感じることはできないということを、今回はじめて知ることとなりました。
その明治時代に再建された街道から直角に曲がる辻を登っていったところに「上の段」と呼ばれる地域があります。急な坂道の上にあるこの場所、正真正銘の旧中山道の面影を残す貴重な街並み。高い場所にあることから水害や火災などから逃れて、江戸時代から現代にいたるまでの時間を無事に超えてきたとのことです。
自動車など存在しない時代、人と馬が歩くことしか想定していなかった時代の旧道はもちろん狭く、そのことが江戸時代の本物の街道であることを強く主張している街並み。
当時から使われていた水場も残っており、張り巡らされた水路とともに歴史の流れを感じさせられる雰囲気ある街並みです。
建物の隙間を抜けていく路地を散策するのも「上の段」の魅力の1つ。土の上をわらじで歩いていく姿を想像しながら、小路を行く江戸時代の人々の生活を想像してみます。
その他にも江戸時代に掘られた井戸がそのまま残っていたり、当時の「乱れ積み」と呼ばれる方法で積み上げられた石積みの壁が残されていたり、注意深く観察するといろいろと楽しめるポイントがありました。
「上の段」から通過する列車を見られるポイントもあり、鉄道マニアであれば絶対に外せないこんな場所も・・・
「あ、電車が来た」とボ〜っと歩いているだけの私でしたが、妻はこのチャンスを狙っていたらしく、おかげで宿場の上を特急しなのが通過していくこの貴重な1枚のスナップショットが撮れました。左に写りこんでいる青いシャツの人物が、ボ〜っと歩いていた私です(笑)
何度も訪れていたのに、実は何も知らなかった福島宿の魅力に気が付かされ、県外から来る友人に「宿場なら奈良井とか妻籠とかかなあ?」と知ったかぶりをしていた自分が情けない。数年前に訪れた木曽平沢の街並みといい、福島の上の段の街並みといい、素晴らしい歴史を感じられる場所がすく近くにあるとうことを、心から嬉しく思う次第です。
途中で和菓子屋さんで美味しい柏餅を買って食べたりもして、1時間にも満たない街道散歩ではありましたが、十分に楽しむことができました。
もうちょっと甘いものを食べて帰ろう〜ということで、福島宿を出たら国道19号を中津川方面へ少しばかり進んで「道の駅・木曽福島」へ。
当店近くで手作りの焼き菓子を販売されている「ティナーズ」さんがここで、ソフトクリームを販売しています。ピンクの小さいなトレーラーハウスが道の駅の駐車場に停まっていますのでそれが目印。上松の新鮮な牛乳で作ってくれるソフトクリームはとても滑らかな舌触り。木曽方面へ行った時はかならず訪れる我が家のお気に入りポイントであります。
いつもならテラスから御嶽山が見えるのですが、この日は雲がかかってしまっていて、その姿を眺めることはできませんでした。
すっかり中山道の魅力にはまってしまったので、今度は須原宿を抜けて妻籠宿を見に行くなんていう日帰り小旅行ができたらいいななどと考えています。
秋の木曽路をのんびりとドライブして宿場巡りができたらいいな・・・などと思うのですが、その頃はどんな状況になっていることでしょうね。それがちょっと心配です。
<<< 雑談 >>>
この日の朝、のんびりと朝食を取った後のことです。外に出ようと玄関の扉を開けた妻から「取っ手になにか挟んである」と声を掛けられました。
確認してみると新聞紙に包まれたコシアブラでした。説明するまでもなくこの時期の信州を代表する山菜の一つです。そう言えば数日前にお店に来てくださったYさんが「山菜取りに行くので、多く採れたらおすそ分けしますね」とおっしゃっていたことを思い出しました。
Yさん、呼び鈴を押してくれればよいのに気を使ってそっと置いて行ってくださったのですね。ありがとうございます。
ということでさっそくちょっとだけ湯がいてランチプレートに添えてみました。
少し醤油を垂らしてからオリーブオイルをかければ、ちょっとイタリアンな気分でコシアブラをいただくことができます。以外とこれがイケますよ。
ただ山菜特有のアクがありますので、少量だけ・・・というところが重要です。
本命は「コシアブラごはん」
かるく洗ったコシアブラのはかま部分を取り除いてある程度の大きさに刻んだら、ゴマ油で炒めます。シンプルに塩だけで味付けしてもいいし、醤油とちょっとの砂糖で味付けしても美味しい。これを炊きたてのゴハンに混ぜ合わせてあげればコシアブラごはんの完成です。
妻にリクエストしておいたら、今年は塩だけで味付けしたシンプルバージョンで食卓に出てきました。この食べ方だと山菜のアクはほとんど気にしなくてよく、簡単に旬の味を楽しめるのでおすすめです。食べるのに夢中で写真は撮らなかったので、残念ながら写真で紹介することができませんが・・・
Yさん、採れたての山菜をどうもありがとうございました。美味しくいただきましたよ!
当店は定休日である土曜日以外は営業させていただきました。3日から5日の3日間だけは18:00閉店とさせていただきまして、いつもより1時間だけ早く店を閉めた分だけ、のんびりとした夜の時間を過ごさせていただきました。
ゴールデンウィークだからといって特別なことをする予定はありませんでしたが、定休日だった土曜日の夕方に、木曽の福島宿を短時間だけ訪れてみました。
土曜日の夕方ともなればすでにゴールデンウィークも終わりという雰囲気だろうから、きっと観光地だって混雑していることはあるまいという考えのもと、我が家を出発したのは午後2時過ぎ。1時間半ほどのドライブを経て、木曽の福島宿にたどり着きました。
道路も混雑しておらず、福島宿も人はまばら。人が少なかったのはこのコロナ禍の状況では歓迎するところではありますが、いまだ続く国内の自粛ムードと、インバウンドという後ろ盾を無くしてしまった宿場町の観光業を営んでおられる方々の心中を考えると、ちょっと複雑な胸中でありました。
川に張り出した壁面にいささか恐怖心さえ覚える「崖屋づくり」の宿場町の風景。表の街道は整然としていますが、裏にまわると川とともに生活してきた木曽谷の住人の苦労を伺い知ることができます。
現在の建築基準法では認められないこの構造。いずれはこの風景も見られなくなるのかもしれません。
初夏の木曽の味覚である「朴葉巻」や、秋の名物である「栗小餅」など、木曽は甘党を自認する私には素晴らしいところ。それらを買い求めに何度か福島を訪れたことがありましたので、福島宿の雰囲気くらいは知っているつもりでした。
先ほどの崖屋づくりが見られる家々の表側の道は幅も拡く、おそらくは明治時代に再建された街道の街並み。そこを車で通過したくらいでは福島宿の本当の魅力の1割も感じることはできないということを、今回はじめて知ることとなりました。
その明治時代に再建された街道から直角に曲がる辻を登っていったところに「上の段」と呼ばれる地域があります。急な坂道の上にあるこの場所、正真正銘の旧中山道の面影を残す貴重な街並み。高い場所にあることから水害や火災などから逃れて、江戸時代から現代にいたるまでの時間を無事に超えてきたとのことです。
自動車など存在しない時代、人と馬が歩くことしか想定していなかった時代の旧道はもちろん狭く、そのことが江戸時代の本物の街道であることを強く主張している街並み。
当時から使われていた水場も残っており、張り巡らされた水路とともに歴史の流れを感じさせられる雰囲気ある街並みです。
建物の隙間を抜けていく路地を散策するのも「上の段」の魅力の1つ。土の上をわらじで歩いていく姿を想像しながら、小路を行く江戸時代の人々の生活を想像してみます。
その他にも江戸時代に掘られた井戸がそのまま残っていたり、当時の「乱れ積み」と呼ばれる方法で積み上げられた石積みの壁が残されていたり、注意深く観察するといろいろと楽しめるポイントがありました。
「上の段」から通過する列車を見られるポイントもあり、鉄道マニアであれば絶対に外せないこんな場所も・・・
「あ、電車が来た」とボ〜っと歩いているだけの私でしたが、妻はこのチャンスを狙っていたらしく、おかげで宿場の上を特急しなのが通過していくこの貴重な1枚のスナップショットが撮れました。左に写りこんでいる青いシャツの人物が、ボ〜っと歩いていた私です(笑)
何度も訪れていたのに、実は何も知らなかった福島宿の魅力に気が付かされ、県外から来る友人に「宿場なら奈良井とか妻籠とかかなあ?」と知ったかぶりをしていた自分が情けない。数年前に訪れた木曽平沢の街並みといい、福島の上の段の街並みといい、素晴らしい歴史を感じられる場所がすく近くにあるとうことを、心から嬉しく思う次第です。
途中で和菓子屋さんで美味しい柏餅を買って食べたりもして、1時間にも満たない街道散歩ではありましたが、十分に楽しむことができました。
もうちょっと甘いものを食べて帰ろう〜ということで、福島宿を出たら国道19号を中津川方面へ少しばかり進んで「道の駅・木曽福島」へ。
当店近くで手作りの焼き菓子を販売されている「ティナーズ」さんがここで、ソフトクリームを販売しています。ピンクの小さいなトレーラーハウスが道の駅の駐車場に停まっていますのでそれが目印。上松の新鮮な牛乳で作ってくれるソフトクリームはとても滑らかな舌触り。木曽方面へ行った時はかならず訪れる我が家のお気に入りポイントであります。
いつもならテラスから御嶽山が見えるのですが、この日は雲がかかってしまっていて、その姿を眺めることはできませんでした。
すっかり中山道の魅力にはまってしまったので、今度は須原宿を抜けて妻籠宿を見に行くなんていう日帰り小旅行ができたらいいななどと考えています。
秋の木曽路をのんびりとドライブして宿場巡りができたらいいな・・・などと思うのですが、その頃はどんな状況になっていることでしょうね。それがちょっと心配です。
<<< 雑談 >>>
この日の朝、のんびりと朝食を取った後のことです。外に出ようと玄関の扉を開けた妻から「取っ手になにか挟んである」と声を掛けられました。
確認してみると新聞紙に包まれたコシアブラでした。説明するまでもなくこの時期の信州を代表する山菜の一つです。そう言えば数日前にお店に来てくださったYさんが「山菜取りに行くので、多く採れたらおすそ分けしますね」とおっしゃっていたことを思い出しました。
Yさん、呼び鈴を押してくれればよいのに気を使ってそっと置いて行ってくださったのですね。ありがとうございます。
ということでさっそくちょっとだけ湯がいてランチプレートに添えてみました。
少し醤油を垂らしてからオリーブオイルをかければ、ちょっとイタリアンな気分でコシアブラをいただくことができます。以外とこれがイケますよ。
ただ山菜特有のアクがありますので、少量だけ・・・というところが重要です。
本命は「コシアブラごはん」
かるく洗ったコシアブラのはかま部分を取り除いてある程度の大きさに刻んだら、ゴマ油で炒めます。シンプルに塩だけで味付けしてもいいし、醤油とちょっとの砂糖で味付けしても美味しい。これを炊きたてのゴハンに混ぜ合わせてあげればコシアブラごはんの完成です。
妻にリクエストしておいたら、今年は塩だけで味付けしたシンプルバージョンで食卓に出てきました。この食べ方だと山菜のアクはほとんど気にしなくてよく、簡単に旬の味を楽しめるのでおすすめです。食べるのに夢中で写真は撮らなかったので、残念ながら写真で紹介することができませんが・・・
Yさん、採れたての山菜をどうもありがとうございました。美味しくいただきましたよ!